Business and Human Rights Practice
ビジネスと人権法務
企業のESG経営の法務パートナー
Business and Human Rights Practice
ビジネスと人権法務
企業のESG経営の法務パートナー
私たちは、これまで、様々な規模・ジャンルの企業様に対し、企業側に立って、法務サポート(ビジネス契約書のリーガルチェック、M&A(法務デューディリジェンス等)、訴訟対応、労務対応等)を行ってまいりました。また、当事務所は、日系企業の海外展開、あるいは外資系企業の日本市場展開に伴う国際商事法務にも積極的に取り組んできました。
そのような中で、私たちは、日本を含む国際的な潮流として、ESGの視点をもった企業経営がもはや不可避であることを日々感じております。一例をあげると、昨今、海外の法制度として、ESGの「S」(Social)にあたる「ビジネスと人権」の分野において、各国が次々と法令を制定していることがあげられます。それらの法令は、国際的なサプライチェーンを念頭においたものである以上、国際取引が常となった中小企業を含む日系企業の皆様にとっても、無関係ではいられないものです。
そこで私たちは、企業の皆様、特にこれまで私たちが数多くの法務サポートをさせていただいてきた中小企業の皆様に、リーズナブルな費用体系のもと、ビジネスと人権分野に関わる法務サポートを継続的に提供すべく、本サイトを立ち上げました。
01
主なビジネスと人権に関するサポート
当事務所では、いわゆる国連指導原則で求められている企業の責任を中心に、「人権ポリシー(Policy Commitment)/CSR調達方針の策定・公表」、「人権デュー・ディリジェンス・プロセスの実施」、「苦情処理システムの構築」、「契約法務としてのビジネスと人権」、「国際法務としてのビジネスと人権」、「社内でビジネスと人権に関する研修講師等のその他サポート」といった、企業の皆様にとって必要なビジネスと人権に関する法務サポートを提供します。
国連指導原則(Guiding Principles on Business and Human Rights: Implementing the United Nations “Protect, Respect and Remedy” Framework)で求められている企業の責任は、大別して以下の3つです。
■人権ポリシーの策定・公表(Policy Commitment)
■人権デュー・ディリジェンス・プロセスの実施(Human Rights Due Diligence)
■苦情処理メカニズムの整備(Remediation)
国連指導原則の「16」では、企業方針によるコミットメントが定められており、そこで企業方針が満たすべき以下の要件が明記されています。
そのため、企業が人権ポリシーを策定する際には、これらの要件を満たすものを策定する必要があると考えられます。
当事務所では、このような人権ポリシーの策定に関し、法的サポートを提供します。
<企業方針の5つの要件>
また、国連指導原則では明記がなされていないものの、取引先とともにサプライチェーンにおける社会的責任を、より効果的かつ具体的に実現するため、人権ポリシーとは別に(あるいはその一部として)、CSR調達方針を策定することが考えられます。
当事務所では、そのようなCSR調達方針(Procurement Policy)の策定に関しても、法的サポートを提供します。
人権デューディリジェンスとは、企業の活動に関連する人権への負の影響を特定し、その防止・軽減させる企業の取り組み・プロセスを指します。これも国連指導原則で企業の責任として位置づけられているものです。
従来、M&Aなどの領域で用いられてきたデューディリジェンスは、主に企業自身の経営上のリスク(企業への法的制裁や予期せぬ経済的損害など)を特定し、防止・軽減させることを目的とするものですが、国連指導原則が求める人権デューディリジェンスは、それを超えて、権利保持者の人権リスク(労働者、地域住民、消費者の人権侵害のリスク等)を含み、かつまずはそれを評価・対処すべきと考える点に一つの大きな特徴があります。もっとも、人権リスクは、その権利保持者に加えられるリスクであっても、結果的にそれが不買運動やレピュテーション毀損リスク(企業の経営上のリスク)に繋がり得るものですので、両者は決して相反するものではありません。
人権デューディリジェンス・プロセスは、主に、以下の図1のように考えられています。なお、①は人権ポリシーの策定・公表に関連するものと考えられます。
【出所:責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンスガイダンス(和訳) P21より引用】
当事務所では、企業の皆様に対し、外部データ(関係する業界や国・地域において懸念される権利保持者の人権リスクデータ)と内部データ(企業固有の人権リスクデータ)それぞれを企業の皆様とともに収集・分析し、負の影響を特定・評価する作業から始まり、それ以降の防止・軽減措置の検討・実施や、適切な情報開示などをサポートいたします。
国連指導原則の「29」では、企業に対し、有害な影響を受ける個人や地域社会のため、実効性を伴う苦情処理メカニズム(grievance mechanism)を設置し、またはこれに参加することを求めています。
そしてこの苦情処理メカニズムは、次のような要件を充足していることが求められています(国連指導原則の「31」)。
正当性
利用可能性
予測可能性
公平性
透明性
権利適合性
持続的な学習源
対話に基づくこと
当事務所では、これらの要件を具備するグリーバンスメカニズム構築に向けたサポートを提供致します。また、中小企業の皆様にとって、このような要件を具備するメカニズムを自身で構築することは容易ではありませんので、そのような中小企業の皆様には、NGO等が構築する外部のグリーバンスメカニズムへの参加等、現実的に対応可能な解決策等を検討のうえアドバイスさせていただきます。
当事務所では、このような契約の場面で生じるビジネスと人権に関する法務アドバイス業務を提供します。
人権DDの各プロセスの実施を円滑に進めるため、基本契約書等にサステナビリティ条項・CSR条項を設けることが考えられます。
その際、あるべき人権DDや取引先(二次以下のサプライヤーなどの間接取引先を含む)ごとの人権リスクの高低、さらには取引先との関係性・地位等にも配慮しながら、適切な契約条項に落とし込んでいく必要があります。
またその契約条項の運用面においても、自社の人権ポリシーや独禁法等の関連法規も鑑みながら、適正な運用を行うことが求められます。
さらに、取引先からアンケート実施、ヒアリング、誓約書の提出、監査を求められる等した場合、当該取引先との契約内容に基づくことはもとより、ビジネスと人権の観点から、どのように対応すべきか検討する必要があります。
当事務所では、各国で制定されているビジネスと人権に関連する法令も積極的にアップデートするとともに、日本の企業の皆様が、それら海外の法令の適否が問題となる場合や、実際に適用された場合の対応等につき、現地の弁護士と協同しながらサポート致します。
現地の弁護士とのコネクションがない国の場合は、クライアントの企業様とともに、現地の専門家調査からサポートさせて頂きます。
他方で、海外の企業が日本国内のビジネスと人権に関する法務につきサポートを必要とする場合は、それら海外の企業へのサポート業務も提供致します。
ビジネスと人権の分野で、企業がなすべき事項は、非常に広範囲におよびます。そのため、「まず何から手をつけたらよいのか」であったり、「いざ人権ポリシーや、調達ガイドライン等を策定したものの、その運用面でアドバイスがほしい」等の場面も想定されます。
当事務所では、そのような企業の皆様がビジネスと人権の分野に注意を払って企業経営(ESG経営)をされる際の、コンサルティング、アドバイザリー業務も提供いたします。
また、自社でビジネスと人権の理解を深めるためであったり、海外の法制度等が適用され、あるいはその法制度を背景として取引先からのリクエスト等を踏まえて、社内でビジネスと人権に関する研修を実施する場面も考えられます。当事務所では、ビジネスと人権を積極的に取り組む専門家の立場で、そのような経営者層向け、従業員向けの研修も提供致します。
02
環境分野
これまで環境法(カーボンニュートラル、カーボンプライシング、再生エネルギー等)の分野に積極的に取り組んできた弁護士が、ESG経営における環境分野に関して、必要な法務サポートを提供します。
近年、ESG・SDGsというフレームワークが登場し、これらが事業の持続可能性を図る視点・モノサシを提供するようになりました。
事業の持続可能性は、会社の将来収益や将来リスクに直接的な影響を与える指標です。そのため、金融機関、投資家らは上記のモノサシを用いて融資先・投資先の事業を評価する時代になっています。
東京オリンピック・パラリンピックの際に組織委員会が、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード(第3版)」を発表し、組織委員会が調達する全ての物品・サービスについて、サプライヤーに調達物品の製造・流通等に関して上記調達コードを遵守するように求めたことを契機に、民間企業においてもESG調達に大きく舵を切る流れが形成されております。
大企業のサプライチェーンに入ることを企図する中小企業はESG調達に対応することが求められ、未対応の企業はサプライチェーンから淘汰されていく時代に向かっています。
気候変動関連訴訟が世界中で提起されています。
2021年5月、オランダのハーグ地方裁判所が、英国・オランダ系石池大手ロイヤル・ダッチ・シェル社に対し、2030年までに2019年に比べて、グローバルでのCO2排出量の45%の削減を命じる判決を出したことで、世界の潮流が変わってきていることは明らかです。
NGOの中には、集団訴訟を積極的に行えるような十分な資金を持ち、国境を超えて活動している組織も少なくないため、日本を含めた世界中で気候変動関連訴訟に向けた気運がさらに高まる可能性があります。
ESG・SDGsのモノサシに適合しない経営を行う企業においては 上記の他にも、現在議論されている炭素税の課税リスクや人材の採用面での不利益等、今後様々なリスクが顕在化することが予想されます。
まずは、ご依頼企業及びそのサプライチェーンにおいて、環境リスクのある取引ないし企業活動を発見・特定し、リスクマッピングを行います。弁護士であることから、リスクの程度について法的観点からも分類を行うことが可能です。
リスクマッピングを行った後、各リスクについての対応の要否及び内容を検討します。対応策としては、取引量の制限・原材料の変更・製造過程の変更等により環境負荷の少ない事業活動へのシフトの可否を社内で検討します。場合によっては、取引先へ対応依頼を行うことも考えられます。
また、社内の調達コードやサプライチェーン・ポリシーの作成等の規程の作成業務も可能です。弁護士であることから、取引先との交渉や契約内容の変更のフェーズに至った場合でもスムーズに業務の移行が可能です。さらに、規程整備のフェーズにおいても、規程内容の条項化や各規程の体系化等の業務において、弁護士としての専門知識を活用することができます。
03
不動産分野
インハウスローヤーとして、大手ハウスメーカーにて勤務した経験を持つ弁護士が、これまでの建築・不動産関係法務で培った知識・経験等をもとに、不動産事業を営む企業の立場に立って、ビジネスと人権への取り組みを積極的にサポートします。
不動産事業においては、次に見るような人権リスクを伴う領域があり、例えば人権デュー・ディリジェンスの際のスコーピングの場面等において、特に注意を払う必要があると考えられます。
不動産業界においては、ESG投資の浸透・拡大等を背景として、建築物や事業者に付与される評価・認証も広がりをみせています(ESGへの配慮の「見れる化」の動き)。
このような社会の潮流等に照らすと、不動産業界においてビジネスと人権を含む適切なESG施策が講じられていない不動産は、それ自体が本来有すべき価値を適正に評価されず(その結果、事実上価値を下落させてしまう可能性があり)、また投資対象からも外されてしまうリスク(企業自身の経営上のリスク)があります。
当事務所は、インハウスローヤーとして大手ハウスメーカーに勤務した経験を有する弁護士が所属しており、同弁護士を中心として、このような不動産業界におけるビジネスと人権を含むESGに関連した法務アドバイス等にも積極的に対応しています。
【京都事務所】
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